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研究の概要

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【小惑星】太陽の反射光で光る小惑星の自転に伴う光度変化を「ライトカーブ(lightcurve)」という.望遠鏡観測から得られるライトカーブから,小惑星の自転周期,自転軸方向,形状や衛星の存在を調べる.一方,分光観測からは,地上で採取された隕石と対応する小惑星タイプを決定して,表層の鉱物や水の存在,宇宙風化などの表面状態についても調査する.これらの観測は,国内外の複数の共同利用天文台に観測時間を申請して遂行していく. 地球軌道に接近する地球近傍小天体(NEOs; near-Earth Objects)や地球衝突危険性天体(PHOs; Potentially Hazardous Objects)は,地球軌道に近い(或は交差している)ため,少ない燃料と時間で探査機で到達できる格好のターゲットである。はやぶさ探査機が探査を行った小惑星イトカワ,はやぶさ2探査機が目指す小惑星1999 JU3も地球衝突危険性天体PHOである(地球衝突確率は100万年に一回)。NEOs/PHOsはまた,地球に落下する隕石の起源と考えられているが,NEOs/PHOsと落下隕石や流星・火球との関連については未解明である。軌道力学進化と物質科学的なアプローチから,隕石・火球と関連母天体のリンクについての研究を行う。

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【小天体探査】「はやぶさ2」は、小惑星イトカワを探査して、表層試料を地球へ持ち帰った「はやぶさ」の後継機です。イトカワはS型と呼ばれるケイ素質の岩石小惑星だったのに対して、「はやぶさ2」が向かう小惑星「1999 JU3」はC型と呼ばれ、炭素系有機物や水を多く含む直径900mほどの炭素質の岩石小惑星です。地球に落下した炭素質隕石は、超高速大気突入時の空力加熱によって、有機物や水が変性ないし失われてしまった状態であるため、母天体からフレッシュな状態のサンプルを地球へ持ち帰る必要があります。太陽系形成時の有機物や水を調べ、地球の生命や海を構成する有機物の起源について調査します。 「はやぶさ2」は、2014年末に打ち上げが予定され、2018年初夏から約1年半の長期間、小惑星と並走しながらリモート探査と複数箇所からの試料採取を行い、2020年末に地球へ帰還します。小惑星表面物質は、宇宙風化によって変性している可能性があるため、爆薬を起爆して、加速された金属塊を衝突させて形成される人工クレーター内部からの試料採取も試みます。太陽系小天体探査の最前線から送られてくる「はやぶさ2」のデータを吟味して、小惑星の地形、組成、内部構造などの物理化学的な性質、軌道進化や形成過程と起源について紐解く研究を行います。また、惑星間空間から直接地球大気へ超高速突入する帰還カプセルの発光を「人工流星」に見立てた科学的な観測を、2020年末に豪州の砂漠で行うことも計画しています。小惑星到着までは,「はやぶさ2」のサイエンスの準備の他,「はやぶさ初号機」で得られたデータをしゃぶり尽くします。 (参考文献; Mass and Local Topography Measurements of Itokawa by Hayabusa (S. Abe et al. 2006, Science 312(5778): 1344-1347), はやぶさ探査機による小惑星イトカワの質量と局所地形の計測(サイエンス・プレスリリース), はやぶさレーザ高度計(LIDAR)による科学成果「はやぶさ」によるイトカワの「サイエンス」特集!イトカワの砂)

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